気候オーガナイザープログラム
REPORTS
トレーニング 2024.06.24

2024年6月2日間ワークショップ:学びを確実に実践につなげる!

トレーニング

2024年6月1日(土)、2日(日)に2日間のオンラインワークショップを開催しました。

今後コミュニティ・オーガナイジング(以後CO)を実践していく2チーム10名が参加し、スタッフ11名と共に、「ストーリー・オブ・セルフ」「関係構築」「チーム構築」「戦略」「リンキング」のフレームワークの講義を受け、演習を行いました。

 

 

今回のワークショップの目的は2つありました。一つ目の目的はもちろん、今後それぞれの地域でCOを実践するチームがCOのフレームワークを一通り学び、実践するプロセスを経験することです。1チーム目は今回のワークショップを通して、その地域で活動を始めたいメンバーが集まり、新しくチーム立ち上げを行いました。2チーム目は、既にCOのワークショップを受けて実践しているチームから、また新しいリーダーたちが参加し、今後チーム内でCOを共通言語として使えるようにしました。

 

【スタッフメンバーも気候オーガナイザーを目指して】

 

ワークショップのもう一つの目的は、スタッフのキャパシティ・ビルディング(能力向上)です。スタッフ11名のうち2名のサブコーチは、現在自分のチームでCOを実践する気候オーガナイザーです。ワークショップの前にコーチトレーニングに参加し、さらにペアのコーチと2~3回の入念な準備ミーティングを行い、ストーリー・オブ・セルフやリンキング(※)のモデルを磨き上げ、演習のファシリテーションを一部担当することで、COに対する理解を深めました。また、スタッフ11名のうち4名のテクニカルサポートメンバーも、これから各地域でCOを実践することを検討している方々です。そのような意味で、KIKOOPスタッフもより実践を意識し、挑戦したワークショップになりました。

 

スタッフのミーティングの一場面

 

【リーダーシップとはどうあるべきもの? ――印象的だった参加者の言葉】

 

今回のワークショップで印象に残っている場面は2つあります。1つは、参加者の中でリーダーシップとはどうあるべきものか、という考え方が覆されていったとき、もう1つは参加者とスタッフ、その場にいる全員が共有する経験や価値観でつながり、団結したときです。

 

1日目にまず参加者は、コーチングとは、相手にアドバイスをしたり正解を教えたりするのではなく、様々な質問をして相手が答えを見つけられるようにすることであると学びました。コーチングはまさに、COにおけるリーダーシップ、つまり「不確かさに直面した人々が目的を達成できるようにすることについて責任を引き受けること」を実践するために必要なスキルであり、考え方です。私たちは気候危機について市民として活動する中で、なかなか仲間を見つけられなかったり、一人で頑張ってしまったり、その結果燃え尽きてしまったりすることがあります。そんなとき、コーチングをしてお互いの問題解決能力を引き出していくことで、リーダーが増え、雪の結晶のようにリーダーシップを広げていくことができます(これをスノーフレーク・リーダーシップと言います)。

 

コーチングを1日目の最初に行ったことで、その後の他のフレームワークの演習の中でも、10名のメンバー全員が積極的にディスカッションに参加し、お互いに質問をしたりリーダーシップを育みあったりするような場面が多く見られました。1日目の最後の振り返りで参加者の一人が、リーダーとは今までぐいぐい引っ張っていく人を指すと思っていて、自分はそういうタイプではないと感じていたけれど、リーダーは階段を登る人の背中を後ろから支えるような存在だということがわかって、それなら自分にできそうだと思ったと話してくださったことが深く印象に残っています。

 

【その場にいる全員が共有する経験や価値観でつながり、団結した】

 

もう1つ印象的だったのは、その場にいる全員がつながったなと思った場面でした。まず、2日目の最後の講義で、サブコーチの一人がリンキング(※)のモデルを語ってくれたのですが、その中にその場にいる参加者とスタッフ全員のことが入っていて、2日間という短い時間でも全員が共有してきた経験やそれが表す私たちの価値観が明確になっていました。、聞いている皆が深く心を動かされている様子がZoomの画面上でもよくわかりました。また、全員で20人程度という比較的小さい規模のワークショップだったからこそ、2日間の最後の振り返りでは全員が一言ずつ学びや気づき、今後につなげたいことを共有でき、それを通してメンバーがCOやお互いに対するコミットメントを高めていくのを感じました。参加者の一人が、この場にいる皆さんが希望で、このZoomの光景を目に焼き付けておきたいと仰っていて、これにも他の方々が頷いたりZoomでハートマークの絵文字を送っていて、場の一体感が生まれていました。

 

※リンキングとは、ストーリー・オブ・セルフ、アス、ナウをつなげた(リンキングした)ものを指します。なぜ私が行動するか、なぜこの場にいる私たちが行動するか、そしてなぜ今行動するかを語り、コミュニティを動かすストーリーです。

 

サブコーチがストーリーを語ってくれました!

 

このように2日間を通してリーダーシップに関する考え方を学び、全員が共有する経験や価値観で団結した結果、参加者の「確実にCOを実践するぞ!」というモチベーションが高まったことが、何より嬉しかったです。参加した両チームが、ワークショップが終わって間もない中ですぐにフォローアップのミーティングを持ち、ワークショップで学んだスキルを練習したり、作った戦略を見直したりし始めています。テクニカルサポートの中にも、自分のチームと一緒にワークショップを受けたいとコメントしてくださっている方もいて、希望が湧きました。

 

私自身は今回のワークショップで、戦略の講義に初挑戦しました。講義はまだまだ改善の余地がありますが、振り返りで参加者の一人が、パワーは動かすことができる関係性であるということがわかった、と仰ってくださり、自分が一番伝えたかったことが伝わったときの喜びを味わいました。これからこの講義に再挑戦できるワークショップも控えているので、参加者の方からのフィードバックを大事に、よりわかりやすい講義を目指していこうと、やる気に満ちています!

 

(講師・フォローコーチ:はるか)