気候オーガナイザープログラム
ORGANIZERS オーガナイザー紹介 2024.05.06

ストーリーを通して尊敬する仲間と関係を作る(もーりーさん)

オーガナイザー紹介

なぜ気候変動の活動をしているか

まず、気候危機は自分の今の生活や将来に直接関わる問題だからです。地球温暖化については新聞など報道を通じて知っていましたし、年々暑くなる夏や、暖かく雪が少なくなる冬から、地球温暖化の進行をじわじわと実感していました。ですが、地球温暖化によって世界各地で起きている気候変動が、自分の身にも迫る危機だと感じるようになったのは、比較的最近のことだったかもしれません。

 

2018年にグレタ・トゥンベリさんの活動が注目され始めた頃、世界で声を挙げる若者たちの動きが気になるようになりました。2019年3月に、おそらく日本で最初の気候マーチ(グローバルストライキ)が渋谷で開催された際は、その様子を見に行きました(小学生~高校生くらいに見える若い参加者が多いのに驚き、大人の自分が隊列に加わるのは何となく気恥ずかしくて、沿道を最後まで一緒に歩きました)。世界中で自分より若い人たちが一斉に動き出した様子から、気候変動は真剣に取り組むべき課題なのだと再認識させられました。

 

2019年10月には台風19号が関東に上陸しました。この時、大きな川に近い自宅も浸水するリスクがあることから、初めて災害による避難を経験しました。幸い、自宅が被害にあうことはなかったのですが、近くの地域では河川氾濫による被害がありました。またこの頃から、夏の暑さも以前までと明らかに違う厳しさになり、それまで使ったことのなかった日傘がなければ、夏の日中は外出できないようになりました。日々の生活の中でも、天候不順による野菜の価格高騰や、不漁による海産物の価格高騰などを通じて、気候変動が生活に及ぼす影響の深刻さを実感しています。こうした危機から自分自身や自分の生きる社会、さらに将来世代の人々を救いたいという思いで活動をしています。

 

今は環境団体職員として、気候危機に対する活動に取り組んでいます。解決すべき社会課題や、関心を持っている社会課題は他にも多くありますが、その中で気候危機に対する活動を職業として選んだのは、たまたま仕事を探していたタイミングで、今の職場での採用があったからという偶然の要素もあります。環境団体で働き始めてみると、同僚や同じ業界で働く人たち、活動する人たちの多くも、気候危機はもちろん、他にも様々な社会課題に強い関心を持っていることがわかりました。自分の暮らす社会の課題に関心を持ち、解決に向けて行動する人たちを尊敬していますし、そうした人たちと共に働いたり活動したりすることは非常に刺激的だと感じています。

 

環境団体への就職後は、職場の他にも、気候危機解決を目指すいくつかの市民グループやキャンペーンに参加するなど、業務の範囲を超えた活動にも関わっています。そこには、本業で活かせる経験や人脈を増やしたいという実利的な理由もありますが、尊敬できる仲間たちと一緒に活動するのが楽しいということが大きな理由です。

 

今の活動を通して課題と感じていることの一つは、政治の意思決定に市民の声が届きにくいことです。日本では政治の意思決定に市民の声を反映させる回路が乏しく、少数の限られた利害関係者のみで重要な決定が行われることが多々あります。学生時代には原発再稼働や安保法案への抗議運動に参加したり、日本からの原発輸出に反対するトルコの市民運動を取材したりしましたが、市民の声が反映されないまま、世論に反した決定が行われてしまうことにもどかしさや疑問を感じました。そんななか、NGO/NPOには政府や企業から独立した専門家集団として、政策提言や情報発信を通じて市民の政治参加をリードする役割があると思っています。困難も多くありますが、だからこそ、あの手この手とアプローチを変えて挑戦する創造性が求められ、様々な経験ができる面白さもあると思います。

 

今までCOのリーダーシップスキルが役に立った場面

講演会・セミナーやワークショップ等で講師として話をする場面で、「パブリック・ナラティブ」の効果を感じました。講演などでは時間が限られていますが、可能な限り、これから話すテーマに自分自身がなぜ関心を持ったのか、なぜ伝えたいことがあるのかなどを、個人的なストーリーと共に語ることを心がけています。すると聞き手との距離が縮まり、その後の議論や質疑応答も積極的になりやすいと感じています。

 

パブリック・ナラティブの一環としての「ストーリー・オブ・セルフ」も、様々な場面で役立つと感じています。自分の価値観を具体的なストーリーを通じて話すことに慣れると、同志や友人などとの関係構築がスムーズになります。また、ストーリーを組み立てるために自分の経験や価値観を振り返る作業は、自分がなぜ活動に取り組んでいるのか、どんなふうに働きたいのか、なにを目指したいのかなどを明確化し、動機付けることにも役立ちます。

 

今後取り入れたいCOのリーダーシップスキル

チーム構築のスキルです。状況にもよりますが、私はどちらかというと、仕事は他人に任せず全部自分で進めた方が早いと考えてしまうことがあります。ですが、より大きな成果を目指し、持続的に活動するためには、チームワークを機能させることが必要です。一部のメンバーに負担が偏ったり、疎外感を感じるメンバーが生じたりすることなく、メンバーの全員が力を発揮できるチーム作りのために、「スノーフレーク・リーダーシップ」など、コミュニティオーガナイジングの考え方が役立つのではないかと思います。

 

様々なチーム活動の中で、戦略や目的があいまいなまま、やることリストを積み上げてしまうことがよくあると感じているので、活動における戦略の練り方や、チーム内で同じ目的を共有するためのスキルにも関心があります。

 

 

写真のキャプション:Climate Liveの会場に展示されたプラカード。気候マーチなどのデモでは、参加者たちがプラカードのデザインやスピーチ、シュプレヒコールや歌などを通じてどんな表現を試みているのか観察するのも楽しみです。