気候オーガナイザートレーニング(2024年1月戦略ワークショップ):気候変動分野で「戦略」を学び実践する意義とは
トレーニング
2024年1月13日(土)に気候オーガナイザートレーニングの戦略ワークショップを開催しました。
気候オーガナイザートレーニングは、
- 昨年8月26日(土)に実施した対面のワークショップ
- その後5回のオンラインでのアフターセッション
- そして2024年1月13日(土)のオンラインでの戦略ワークショップ
を通して、参加者が気候変動における市民運動の実例を学び、仲間と共にチームを立ち上げ、コミュニティ・オーガナイジング(以後CO)を実践する、新しいプログラムです。
戦略ワークショップには、昨年8月からCOを学んできた人の中から、4チーム16名が参加し、スタッフ15名と共に、『戦略』と『アクション』のフレームワークを講義で学び、実際に演習を行いました。
ワークショップ当日の朝Zoomが開かれると、そこには参加者の他、KIKOOPのワークショップ等の既存受講者の中から、サブコーチやテックスタッフも集まっていて、気候変動をなんとかしたい人でCOを学んでいる人のエコシステムが広がっていることが、まず実感できました。
講義ではほぼ全ての参加者がZoomの画面をオンにした状態で、個人的にメモをとったり、頷きながら聞いているシーンが印象に残っています。
実のところ私は、今回のワークショップがメインコーチとして初めて参加するワークショップでした。なので、戦略ワークショップが早朝8時50分から夜18時30分までの長丁場だったにも関わらず、皆さんとても真剣に、何か少しでも自分の活動に持ち帰ろうという姿勢を強く感じた時、コーチとして改めて身を引き締めたことを覚えています。
【気候危機を心配するひとりとして、メインコーチとして、COの学び】
メインコーチとしてワークショップに参加してみて1番印象に残ったことは、気候変動分野の活動で、戦略をつくることの意義を再確認したということです。
気候変動は、常に刻々と状況が変わりその変化のスピードも早い問題です。COを学ぶ以前の私自身も、変わりゆく状況の中で、気候変動をなんとかしたいという想いから、本当は長期的なキャンペーンをじっくり練った方がよいことを理解しながら、目の前の状況に対して反応的に活動してしまうといったことがありました。
例えば、
- 「署名が回ってきたからすぐにサインしなきゃ」
- 「(なんなら)私も署名を始めなきゃ」
- 「選挙がはじまるから候補者の方へ気候変動についてどう考えているかヒアリングしたほうがいいな」
- 「環境基本計画の改定時期だ!」
- 「区議会議員の方へ気候危機のことを伝えたい…」
といったことが同時に起こった場合、すべての状況に対して自分の資源を投入しようとしてしまい、結果バーンアウトすることにもなっていたのです。
多様な「やらなければいけないこと」に反応して、日々SNSなどから流れてくる情報から個別のアクションを企画したり参加しつつ、結果として長期的なキャンペーンを策定することができなかったという経験をしたことがある方は、実際のところ多いのではないでしょうか?
COの戦略のフレームワークを学び実践していくと、効果的なゴールや仮説、戦術のタイムラインを作成する中で、自分自身やチームメンバーの資源を散逸させることなく、資源を集中させてパワーをつくっていくことが出来るようになります。ゴール設定と長期的なタイムラインを明文化し、チームメンバーと共有することは、ミーティングでの議論自体もスムーズにしていくことに繋がります。みんなで同じ地図を見ている状態になるからです。
【参加者だけでなく、既存受講者のさらなる成長も】
さらに今回のワークショップでは、現在実際にキャンペーン展開を行っているKIKOOPの過去のワークショップ受講者が、サブコーチとして参加してくださいました。戦略ワークショップでのサブコーチ経験をしたことで、今まで以上に戦略のフレームワークの学びを深めることができ、各チームの活動に還元されていっているのを感じています。
私が担当したチームのサブコーチを担当してくださった方は、すでに気候危機キャンペーンの実践者でもあります。先に、KIKOOPでCOのワークショップを受けており、今回の1月13日の戦略ワークショップまでの準備期間の間は、復習の時間でもありました。サブコーチは、これから自分が実際に始めようとしている新たなキャンペーンを軸に、COを再度復習し、その学びを基に、1月13日のワークショップでコーチを務めるという、とっても濃いトレーニングを行いました!
スタッフ陣も、たくさん準備したので、ワークショップ直後のアンケートからも素敵な感想を頂きました。
例えば
「ゴールに対する道筋が曖昧なまま、アイディアベースで戦略が決まってしまうことが多いため、体系的な戦略の決め方がわかってよかった」
「何となく活動を積み重ねていくイメージしかなかったのですが、具体的な目標を見据えて、バックキャスティングで計画を考えていくことが必要だと学ぶことができた」
といった、戦略のフレームワークを(わざわざ)学ぶ意義が腑に落ちた声が多かったです。
私自身がそうだったように、変化のスピードの早い気候変動分野では、戦略や戦術づくりはなかなか取り組むことが難しいというのが正直なところではあると思います。しかし、COのフレームワークを使って、チームの仲間と共に資源をパワーに集約させながら戦略を立てていくことで、みんなの資源を効果的に活動へ投資でき、限りある時間や労力を効果的に、持続可能に発揮していくことが出来るようになります。
気候変動分野で「何をすればいいかわからない」時、KIKOOPのワークショップやパワーアップ会(※1)へ参加していただくことで、何か前に進むためのヒントを受け取っていただけたら嬉しいです。
※1:パワーアップ会は、コミュニティ・オーガナイジングを学ぶ気候活動家たちが集まって、フレームワークを学び直したり、実践を振り返ったりする場です。1か月~数か月に一度の頻度で開催しています。
(コーチ:まゆ)